
ご好評頂いております読売新聞西日本版、
11月24日月曜日の朝刊に掲載された
「メンインエポック」の最新号をお届けします。
冬、ダウンジャケット類を羽織る男性をよく見かける。
軽くて温かく使い勝手はいいが、
関西で活躍するテーラー小西正仁さん(38)は
「たまには紳士のたしなみとして、
厚手のジャケットも悪くない」と話す。
強い北風や雪の日は、
やはり丈夫なツイードが良い。
柔らかくて温かいカシミヤと違い、
無骨で男臭い印象もあるが、
それが逆にダンディーでしゃれている。
ただ生地が重いのでコートよりもジャケットがおすすめだ。
ところで、その名の由来をご存じだろうか?
産業革命の前、原産地のスコットランドでは、
その生地の織り方である
綾織(ツイル=tweel)と呼んでいた。
生地は南へと運ばれ、
ロンドンの商人やテーラーが間違って
ツイルをツイード(tweed)と表記してしまった。
理由は定かではなく、
なまりを聞き間違ったとも、
スコットランドの首都エジンバラを流れる
ツイード川から勘違いしたとも言われる。
間違いはそのままになり、
いつの間にか原産地でもこうした生地のほとんどを
ツイードと呼ぶようになった。
ハリス島に由来するハリスツイードや、
エジンバラツイードなどは
トラッドやアイビーの定番だ。
この冬のお勧めは、
薄いグレーのヘリンボーン(杉綾)や
少し大きめのチェック柄や千鳥格子。
擦り切れるまで着ても、
エルボーパッチをあてたり
襟を革に取り替えたりすれば、
さらに味が出て格好良くなるのも
魅力の一つといえる。

イラスト・仲里カズヒロ氏

ご好評頂いております読売新聞西日本版、
4月5日土曜日の朝刊に掲載された「メンインエポック」の最新号をお届けします。
さわやか春のシャツ
暖かくなり薄着で過ごせるようになってくると、
お気に入りの新しいシャツが一枚欲しくなる。
関西で活躍するテーラーの小西正仁さん(38)は
「春のシャツ選びのポイントは、襟元と全体のバランス」と語る。
今の流行はなんと言っても、身幅がタイトで着丈の短いLカットの白シャツ。
シャツの背中側にダーツを入れて胸回りからウエストをぐっと絞ったり、
生地が透けそうな綿のボイル地にしたりしたものが多く、
逆三角形の体形に鍛え上げられたスポーツマンタイプが良く似合う。
トラッド好きには少しざっくりしたオックスフォード生地で、
やはり襟は小ぶりなボタンダウンが良さそうだ。
身幅はゆったりし、ネクタイをしてもしなくても良い使い方ができる。
シャツをカジュアルで上手に着こなすには、
全体のバランスがとても大事になる。
例えば、シャツの第1ボタンを開けて着崩そうとすると、
第2ボタン位置との間隔の違いから襟の開き方が微妙に異なってくるので、
鏡に映すと襟元が気になる時がある。
あまりに襟が開きすぎるのもちょっと下品だし、
開きが少なすぎるのも艶がない。
さらに着丈、袖丈、「ぴったり」「ゆったり」といった
サイズ感などにもこだわりがあるなら、
一度、シャツをオーダーメードするのも悪くない。
さりげなく、シャツをよりお洒落に着ることができる男のテクニックは、
日ごろのこだわり具合に隠されているようだ。
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イラスト・仲里カズヒロ

ご好評頂いております読売新聞西日本版270万部の朝刊にて
長期連載されているメンinエポックの年末特別座談会2007をお届けします。
対談の様子は「読売新聞本社内会議」をご覧下さい。
年末特別座談会2007
中高年男性のおしゃれについて考える「メンinエポック」を
担当しているテーラーの小西正仁、繁田一の両氏に、
今年一年のメンズファッションを振り返ってもらった。
あふれる情報から何を得て、どう自分らしく着こなせばいいかについても聞いた。
(山畑洋二、田中洋史)
◆この一年◆
繁田
今年一年、メンズファッション市場で大きな動きは目立たなかった。
一昨年からの「ちょい不良(わる)オヤジ」「クール ビズ」も一息つき、
次なるトレンドへの過渡期になった。
ただ、底流では変革があった。
紳士物衣料全体の品質の底上げだ。
これまでのような「安かろう悪かろう」ではなく、
安くても品質の良い服が増えた。
小西
価格を抑えた量販店の既製服の型(パターン)が良くなってきたね。
色やサイズが増え、豊富な品ぞろえは注目に値する。
カシミヤのセーターも量販店で当たり前に並んでおり、
高級服店は単に高級素材を使っているというだけでは差別化できず、
ほかにマネの出来ない希少価値が求められている。
繁田
おしゃれな中高年男性が増えた。好みが細分化し、個別化が著しくなってきた。
その分、私たちテーラーへの要求も高まった。
作り手の個性ある一点物と、もっとアピールする必要を感じる。
好みの多様化は、コストと手間をかけ、
何度もやりとりをしながら服を作るテーラーにとって、
むしろやりがいのある傾向といえる。
◆あふれる情報◆
小西
男性ファション雑誌などに情報があふれているが、
その記事の多くはスーツ、靴、かばんといったアイテム単体についてか、
頭からつま先まで同一ブランドでそろえたものについて。
本当に必要な、複数のブランドにまたがる
トータルなコーディネートについての情報が案外、少ない。
繁田
最新情報を知るには、町で同世代の男性のスタイルを見るといい。
特に百貨店の紳士服売り場に出かけ、
どんな服が目立つ場所に陳列され、
訪れた客がどんな服を着ているか、をしっかり見る。
「あの人、センスがいいな」と感じた装いを真似るのは悪いことでも何でもない。
〈生きた教科書〉から学べば、自然に感性が磨かれる。
◆着こなし術◆
小西
男性は、女性よりも凝り性。ある特定の品物にこだわり過ぎると、
ほかのアイテムとの兼ね合いが難しくなる。
たとえば黒い高級万年筆を、ぜひ持って歩きたいとする。
それにはスーツが似合い、カジュアルな服装は似合わない。
つまり、特定の品物を優先させると他のアイテムの選択の幅が狭められる。
全体のコーディネートを考えるなら、全身をイメージしてからアイテムを選んでいきたい。
その中でアイテムに凝るのが良いと思う。
繁田
「男は、こうあらねばならない」などというこだわりも捨てた方がいい。
素直に好き、嫌いで服を選べばいい。
人生経験の豊富な中高年のみなさんは着こなし術を、
すでにご存じのはず。
評論家の唱える理屈に振り回されない方が良いように思う。
小西
サイズに気を配ろう。時代によってゆったりが流行したり、
窮屈気味になったりするが、現在は細身。
黒っぽい色調のジャケットに明るめのシャツやネクタイ、
ハンカチーフの組み合わせも一つ。
自分のサイズを知れば間違いはない。
繁田
サイズ感の変動の激しい婦人服とは違い、紳士服には幸い、
ジャストフィットが一番という考え方がある。
自分は流行に流されない、と決めておけば
好きな服を長く着続けられるし、自分らしさを保ち続けられる。
小西
どんな風に他人から見られたいのか。
「若く」なら、それに見合うアイテムは何かを考える。
ただ、「若く見える」は「落ち着きがない」と表裏一体。
相手に間違った印象を持たれたら、その人のコーディネートは間違っている。
今、あなたの服が、他人にどんな印象を与えているか考えて見て下さい。

ご好評頂いております読売新聞西日本版、
11月5日の朝刊に掲載された「メンインエポック」の最新号をお届けします。
レザー
~ベストで高級感漂わせ~
今年の秋冬は、レザー(革)が中高年の間で人気だ。
ジャンパー、ジャケット、ベスト、パンツ、カバン、靴など、
あらゆる製品が注目を集めている。
関西で活躍するテーラーの小西正仁さん(38)は
「使い込んだ時に生まれるレザーの風格は、
それを着る男性の生き様にも重なる」と語る。
百貨店や専門店の紳士物売り場では
「レザーが秋冬商戦の主力商品」との声が高い。
団塊世代や中高年にとって、革製品がおしゃれ着という
かしこまったイメージではなく、普段着として定着してきただろう。
お気に入りの革ジャケットや革ジャンに合わせるため、
革の黒や茶色に映える色や柄のセーターやマフラー、
帽子などを買う人が増えている、との売り場担当者の声もよく聞く。
コーディネートの中で、間違いなく革製品が主役になっているのだ。
昨シーズンから引き続いて男女ともベストが好調だ。
もし新調するなら、革のベストをお勧めしたい。
カジュアルないでたちでも革のベストを羽織るだけで、
シックで高級感のある装いに変身する。
これに、ベストと同色の革のブーツを合わせてもいい。
大人の男性らしさと、野性味を演出できそうだ。
レザーが好調なおかげで、ブーツ人気もまだまだ収まりそうにない。
レザー商品の最大の特徴は
買った時よりも使い続けた方が格段につややかさを感じさせる点だ。
しっかりメンテナンスしていれば、色あせず、年月がたつほどに体になじみ、
柔らかいシルエットや表面の細かな傷がむしろ風格さえ感じさせるようになる。
ひよっとしたら、ほろ苦い経験を味わいつつ、
「ちょい不良」なダンディさを目指してきた男性の生き様にも共通する、
格好良さなのかもしれない。
テーラー・小西正仁
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イラスト・仲里カズヒロ

ご好評頂いております読売新聞西日本版、
7月3日の朝刊に掲載された「メンインエポック」の最新号をお届けします。
ポロシャツ
~清潔感のある白が基本~
ポロシャツは昨年に引き続き、この夏も大人気。
鮮やかな原色や横じまなど様々ありますが、
基本は白と生成り。
特に白は清潔感があり、大変好まれています。
綿素材の鹿の子編みは丈夫なうえ、通気性がよく、水分吸収力も高いので、
高温多湿で汗だくになりやすい日本の夏にぴったりだからです。
半パンやジーンズにもよく合うし、大人っぽくジャケットを羽織るなど
幅広いコーディネートを楽しめるのも人気の秘訣と言えます。
ポロシャツはその名の通り英国のポロ競技に由来します。
そもそもポロには決まった競技服が無かったこともあり、
色々な服が考案されました。
その一つがボタンダウンシャツです。
競技中、風にあおられた襟が首や顔に当たるのを防ぐために、
衿先をボタンで留めたのがきっかけと言われています。
一方、 ポロシャツは20世紀に入って考案されました。
フロントが小襟、すその両サイドに浅いスリットが入ったスポーツシャツ。
鹿の子編みの生地は、柔らかい着心地で伸縮性に富み、
激しい体の動きにも違和感なくフィットします。
その後、ポロ競技と同様に伝統的なスポーツである
テニスの競技服としても広まりました。
現在の形に完成させたのは1920年代に活躍したフランスの人気テニスプレーヤーで、
後に実業家に転じたルネ・ラコステ。
彼のあきめないプレーと勝負強さが獲物を狙うワニに例えられ、
それが胸のワンポイントになって受け継がれているという説が有力です。
今では、ゴルフなど多くの野外競技の定番にもなっています。
街でポロシャツを着こなす男性が活動的で粋に見えるのは、
こうしたスポーツ由来の歴史があるからでしょう。
テーラー・小西正仁
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イラスト・仲里カズヒロ

ご好評頂いております読売新聞西日本版、
3月9日の朝刊に掲載された「メンインエポック」の最新号をお届けします。
ハンチング
~狩猟用から都会的アイテム~
最近、お洒落な帽子をかぶっている人を、街でよく見かける。
大人の男性に一番の人気は、やはりハンチングだ。
なだらかに前傾した帽子の山と前びさしが短いのが特徴で、
山の高いトップハットなどに比べ、少々の風が吹いても飛ばされない。
ハンチングはハンティングキャップからの和製英語で、
鳥打ち帽とも呼ばれる。
19世紀半ば、英国で狩猟用として使われたのが起源。
注目すべきは、当時がぶっていたのが従者だった、という点だ。
狩猟の主役である貴族階級は、
トップハットやボウラー(山高帽)を愛用し、ハンチングはかぶっていなかった。
20世紀に入り、出始めたばかりの屋根のない自動車に乗る貴族たちは、
好都合とばかりにハンチングをかぶり始めた。
このため、ドライビングキャップとも呼ばれることになる。
こうして従者から紳士へと帽子の主は広がり、さらに世界中に広がっていく。
ハンチングは今や、カントリーな狩猟のイメージよりも、
都会的な街中でのお洒落として浸透してるのも、なんだか面白い。
テーラー・小西正仁
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イラスト・仲里カズヒロ

ご好評頂いております読売新聞西日本版、
9月8日の朝刊に掲載された「メンインエポック」の最新号をお届けします。
■黒のセルフレームと黒ジャケット□
そろそろ秋の装い。思い切ってイメージチェンジするのも悪くない。
洋服の趣味を変えるのもよいが、
もっと簡単にイメージを変えることができるのはメガネ。
今年は特に黒のセルフレームが中高年にも人気だとか。
黒ブチメガネと言うと昔は真面目や気難しい方の代名詞だった。
しかし今年の黒のセルは最もお洒落なアイテムなのだ。
一見普通の形でも、凝ったカッティングラインだったり、
光る黒の材質だったりだと、かなりモダンな印象を与える。
ちょい不良(わる)というよりも、ちょい真面目(マジ)な感じといえるかもしれない。
そんなお洒落な黒のセルフレームには、
黒や濃紺のジャケットを合わせたい。
下はカジュアルにジーンズやチノパンでも構わない。
大人らしい着こなしで、遊び人というより知的な印象を与える。
メガネをかけない人なら、サングラスとして挑戦すれば
イメージチェンジになるだろう。
2006 9月8日




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